2013.2月号
届け出次第で節税効果アップ!家族に支払った給与を必要経費にする方法
私は不動産賃貸経営を行っており、家族に事務処理等を手伝ってもらっているため、給与を支払いたいと思っているのですが、この給与は必要経費とすることが出来るでしょうか。また、その場合の要件などについて教えてください。
不動産事業を個人形態で行っている方は、家族を従業員とし、その家族に対して給料を払っているケースが多く見受けられます。もちろん個人形態でも一定額を必要経費として収入から差し引くことができますが、青色申告と白色申告とでは家族に対する給与の取り扱いが異なるのでご注意下さい。
1. 青色事業専従者給与と専従者控除
個人事業者が生計を一にしている家族を従業員とした場合に、その家族に対して給与を支払うことがありますが、この給与は原則として必要経費にはなりません。しかしながら、特例で一定額を必要経費にすることができます。このとき、青色申告の場合と白色申告の場合で適用される特例が異なります。青色申告の場合には青色事業専従者給与の特例、白色申告の場合には専従者控除の特例になります。それぞれのメリットと要件は次のとおりです。(1)青色事業専従者給与の特例
[1] メリット
不相当に高額な金額でなければ、家族に支払った給与の全額を必要経費にすることができます。[2] 要件
イ) その年の12月31日現在で15歳以上である生計を一にする配偶者その他の親族に対して支払われた給与であること。(ただし、その年を通じて6ヶ月を超える期間、その事業に専ら従事していることも要件になりますので、学生(夜間学生を除く)や他の職業に従事している人などは事業専従者になることはできません) ロ) 原則、青色事業専従者給与を支払う年の3月15日までに「青色事業専従者給与に関する届出書」を所轄の税務署長に提出していること。 ハ) 届出書に記載されている方法により支払われ、かつ、その記載されている金額の範囲内で支払われたものであること。(2)専従者控除の特例
[1] メリット
事業主の配偶者であれば86万円、配偶者でなければ50万円、または、この控除をする前の事業の所得金額を専従者の数に1を足した数で割った金額とのいずれか少ない金額を必要経費にすることができます。[2] 要件
イ) その年の12月31日現在で15歳以上である生計を一にする配偶者その他の親族(その年を通じて6ヶ月を超える期間、その白色事業者の事業に専ら従事している者)がいること ロ) 確定申告書にこの控除を受ける旨、その金額など必要な事項を記載すること ただし、上記の事業専従者(青色、白色共に)に該当する場合には、配偶者控除や配偶者特別控除及び扶養控除の適用対象者になることができません。そのため、事業専従者に対する給与の額が少ない場合には、かえって不利になることも考えられます。いずれが有利なのか、状況などをふまえて検討する必要があります。
2. 青色申告のすすめ
白色申告を行っている場合、青色申告にすることで、上記の専従者控除よりも有利な青色事業専従者の特例を適用することができます。また、正規の簿記の原則に従い複式簿記により記帳した場合には65万円(複式簿記によらない場合は10万円)の青色申告特別控除の特典や少額減価償却資産の計算の特例を受けることができます。売掛金や未収入金の多い方であれば、貸倒引当金の設定もできます。 近年、パソコンなどの普及により、正規の簿記の原則に従った帳簿を作成するのも比較的簡単になっています。青色申告に切り替えて節税を検討してみてはいかがでしょうか。ただし、不動産事業の方が白色申告から青色申告へ変更して65万円の青色申告特別控除を受けるためには、事業的規模(5棟10室以上)を満たすことが要件になりますので、ある程度の規模をもって事業を行っていることが条件になります。しかしながら、事業的規模に満たない場合であっても10万円の控除はできますので節税対策としてはおすすめです。
3. 青色申告に関する届け出と特典
いままで白色申告であった人が青色申告の適用を受けたい場合には、その年の3月15日までに「所得税の青色申告承認申請書」を提出する必要があります。 また、「青色事業専従者給与に関する届出書」を所轄の税務署長に提出する際には、同時に「給与支払事務所等の開設届出書」を提出する必要があります。その他、「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」を提出すれば、源泉所得税の納付を年2回にまとめて行うことができますので上手に特例を活用してください。
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