2007年4月
【 2007年4月 】
2007年4月 平成19年度税制改正
今年もいくつか税制改正があるとのことですが、今年の改正のポイントを教えてください。
平成19年度の税制改正は、回復傾向にある『日本経済の持続発展の実現』に重点をおいた内容になっています。今年の税制改正について、いくつかの項目をピックアップして解説します。
<解説>
1. 経済の活性化、国際競争力の強化を目的とするもの
<減価償却制度の改正 >
◆残存価額の廃止
◆償却可能限度額の廃止
- 平成19年4月1日以降に取得する減価償却資産については、現在、無形減価償却資産を除いて取得価額の95%までに制限されている償却可能限度額と、残存価額(取得価額の10%相当額)が廃止され、法定耐用年数経過時点には備忘価額の1円を残して事実上100%まで償却が可能になります。
- また、定率法を採用した場合には、評価方法は現行どおりですが、定額法償却率(1/耐用年数)の2.5倍(250%)相当額が償却率になります。さらに、特定事業年度以降は、耐用年数から経過年数を控除した残存年数による均等償却(定額法)に切り換えて、備忘価額1円を残した金額まで減価償却を行うことになります。
<中小企業・ベンチャー支援>
◆中小企業(資本金1億円以下)の特定同族会社の留保金課税制度からの適用除外
- 特定同族会社については、留保金課税制度(留保控除額を超える内部留保に対し、10%~20%の税率によって通常の法人税の額に加算されるもの)が設けられています。これが今回の改正によって、特定同族会社のうち、資本金1億円以下の中小企業については、適用対象法人から除外されることになります。
◆特殊支配同族会社の役員給与損金不算入制度の改定
- 役員給与損金不算入制度とは、いわゆる実質1人会社のオーナー社長の役員給与のうち、給与所得控除相当額を損金不算入とするもので、昨年度の税制改正によって創設されたものです。これが、平成19年4月1日以後開始事業年度より、適用除外基準所得金額が現行の800万円から1,600万円に引き上げられます。
2. 国民生活への配慮を目的とするもの
<住宅税制>
◆住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除の控除額の特例創設
- 平成19年および平成20年に居住の用に供する場合について、控除率を引き下げたうえで、控除期間を15年に延長する特例が創設されることになります。従来の住宅ローン控除との選択適用とされます。
居住年 | 控除期間 | 住宅借入金等の年末残高 | 適用年・控除率 |
---|---|---|---|
平成19年 | 15年間 | 2,500万円以下の部分 | ・1年目から10年目まで 0.6% ・11年目から15年目まで 0.4% |
平成20年 | 同上 | 2,000万円以下の部分 | 同上 |
◆居住用財産の買換え・交換の特例等
- 特定の居住用財産の買換・交換の場合の長期譲渡所得の特例の延長
上限(現行280㎡)を撤廃し,適用期限が平成21年12月31日までとなりました。
- 相続等により取得した居住用財産の買換・交換の特例が廃止されます。(平成19年4月1日以降の譲渡)
- 特例資産の買換等の場合の課税の特例が延長されます。(平成20年12月31日まで)
- 居住用財産の譲渡・買換に伴う譲渡損失の損益通算・繰越控除が延長されます。(平成21年12月31日まで)
3.金融・証券税制
◆上場株式等の配当等・譲渡所得等に係る軽減税率の特例の適用期限延長
- 上場株式等の配当等・譲渡所得等に係る軽減税率(所得税7%、住民税3%)の特例の適用期限が1年延長されました。
<今回の税制改正をうけて>
今回の税制改正に関しては、企業にとっては減税が中心となっていますが、個人にとっては増税が中心の厳しい内容になっている印象を受けます。証券税制や住宅ローン関連は減税措置が延長される一方で、定率減税については予定通り廃止されました。国の歳入面に関しては、18年度の税収は9年ぶりの高水準となり、また、増収幅としては過去最大となりました。今後は一連の政策による景気回復の兆しが、国民によりはっきりとした形で見えてくることが期待されますね。
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