土地の色分けと相続対策
※2012年9月時点の税制をもとに改訂しています。
私の家は代々農業を営んでいます。最近は、私の家の周辺でも市街化が進み、農業と不動産賃貸業を兼業で行うようになってきました。宅地化が進むと相続税負担が多くなると思うので今から対策をしたいのですが、どのようにしたら良いのでしょうか。
土地の「色分け」をしてから、相続対策をしましょう。
【土地の4種類の色分け】
- 死守地 :最後まで守りたい土地
- 有効活用地:「家」のゆとりのために有効活用したい土地
- 納税地:納税する、または納税資金を準備するための土地
- 問題地:有効活用がままならない土地
バブルがはじけた後にも依然として宅地化は進んでいます。
土地をたくさん持っておられる組合員さんにとっては、いつか発生する相続が一番の悩みの種になっているでしょう。 そこで、今回は土地の「色分け」と有効活用、納税対策について解説します。
- いくつか土地を持っている場合には、最初に土地を上にあるように四種類に「色分け」します。
- 土地の色分けが終わったら、次は各土地についてどのような対策が出来るのかを考えていきましょう。
ここからは上に揚げた4種類の土地について、それぞれ対策方法を解説していきます。
1. 『死守地』
死守地とは、前述のとおり、家を守るため最後まで残さなければならない自宅の敷地や分家用地、農業を続けるための農地のことを指します。これらの土地を守るためには、相続が”争族”にならないために遺言書を残したり、農地の納税猶予の特例が受けられるよう、日頃から全体的に農地を耕作しておくことなどで対策を行うことができるでしょう。
2. 『有効活用地』
有効活用地とは、アパートを建築したり駐車場等にして有効に活用できる土地のことです。これらの有効活用地からあがる収益を子供や孫に贈与していけば相続人は納税資金を準備することも可能でしょう。
3. 『納税地』
納税地とは、いざ相続が発生したときに納税するため売却や物納がしやすいような土地のことです。このような土地は一般的に月極駐車場などとして相続発生まで利用していることが多いようです。駐車場等であれば売却するにしても物納するにしても、比較的容易に契約の解除ができ、相続発生までは有効活用ができます。
4. 『問題地』
貸宅地(借地人が借りている土地の上に建物を所有している場合)や市街地山林、耕作権の付いている土地などは、収益性や処分のしやすさという面からみると一般的には不良資産化してしまっている土地といえます。しかし、この土地を「問題地」から「納税地」に変えることができます。
相続が発生した場合に、その土地を買い取ってもらえるような合意を地主の方と借地人の間でできるならば、契約書に特約事項として含めておくのが良いでしょう。生前に借地人に売却することも対策の一つですが、売却すると所得税が多額になる可能性があります。しかし、相続発生後に買い取ってもらえれば相続税の取得費加算の特例を適用することができるため、所得税をおさえることができます。
もう一つの対策は、貸宅地を物納に当てる方法です。物納というと建物などを取り壊して更地にしないといけないようなイメージがありますが、貸宅地も物納することができます。しかし、この場合でもきちんと測量・分筆等を行い境界線の確認を行っておくことや、正式な契約書を作成しておくなど一定の要件がありますので、いずれにしても時間をかけてしっかり対策することが必要になるでしょう。
また、耕作権が付いているような土地に関しては所得税法58条による交換の対策が有効です。市街地山林などについては農住組合による区画整理、もしくは開発や造成、売却等による対策を検討していきます。
ここまで土地の「色分け」と、それぞれの対策方法について簡単に解説してきたわけですが、みなさんもこれを参考にして現在所有している土地にはどのような土地が多いかを実際に検討されてみてはいかがでしょうか。有効利用できる土地はできるだけ活用し、納税地となる可能性があることろについては、少しずつ測量するなどして土地全体を見直してみることは、非常に有効な相続税対策になることと思います。
また、相続対策とひとことで言っても経費がかかる場合もありますので、まずJAに相談し相続税の試算をしてみて、どれくらいの税金を負担しなければならないかを把握してから、必要な対策を行っていくことが大切です。
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