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死亡共済金の税務について― 生命共済金の取り扱い ―

※2012年9月時点の税制をもとに改訂しています。

生命共済金の税務上の取り扱いについて教えてください 。

生命共済金は、掛金負担者、被共済者、受取人の関係によって取り扱いが異なります。詳細は事例で解説します。

夫婦で農業を営んでいる花子さんは、夫の太郎さんを被共済者として、入院特約のついた生命共済に加入してほしいと思っていました。ところが、夫の太郎さんは大の保険嫌いで「そんなもの入れるか!」と怒られてしまいました。しかたがなく花子さんが「わたしの小遣いの中から掛金を支払うから入ってよ」と言うと、太郎さんはしぶしぶ承知してくれました。そこで、花子さんは、自分が契約者となり、太郎さんを被共済者として生命共済に加入しました。
それから数年後、夫の太郎さんが交通事故にあって亡くなってしまいました。花子さんは共済金の受け取り手続きをし、5,000万円の死亡共済金を受け取りました。花子さんはこの死亡共済金で、しばらくの生活はなんとかなると思っていましたが、この受取死亡共済金には926万円の税金がかかるということがわかりました。太郎さんが亡くなったことによって支払われた死亡共済金に、こんなに税金がかかってしまうなんて、と花子さんはがっかりしていました。
さて、この事例ではどうしてこんなに税金を払わなければならなくなってしまったのでしょうか。
問題は、掛金の負担者・被共済者・受取人の関係にあります。誰が掛金を支払ったのか、被共済者は誰なのか、受取人は誰であるのかによって税金の種類や金額が異なります。この事例の場合に、花子さんが支払わなければならない税金は所得税になります。もし、夫の太郎さんが掛金を支払っていた場合は、税金の種類が相続税となり、下記の前提条件によると課税価格が基礎控除額を下回り税金はゼロになるはずでした。また、掛金負担者と被共済者、受取人がすべて異なる場合、税金の種類は贈与税となり、税負担が一番重いため、多額の税金を納付することになります。(所得税・相続税・贈与税の比較については別表を参照してください)

受取共済金等の課税関係

【前提条件】    
1.被相続人
2.受取共済金 5,000万円
3.その他の財産 2,000万円
4.法定相続人 4人
5.共済の払込金額 50万円
6.妻の所得 0円
7.その他の贈与財産 0円
掛金負担者 被共済者 受取人 税金の種類 税額
相続税 0円
所得税・住民税 926万円
贈与税 2,220万円

 また、生命共済を上手に活用すれば相続税対策にもつながります。以下で、生命共済をどのように相続対策として生かすことができるかどうかについて説明します。

  • 生命共済金で納税資金をつくる
    相続税を納付しても、なお預貯金がある場合には問題ありませんが、相続税を納付すると預貯金がすべてなくなってしまうような場合には、後の生活が不安です。このような場合に、生命共済に加入しておけば相続税の納税資金を準備することができます。あらかじめ、相続税の試算をしておくとよいでしょう。
  • 受け取った生命共済金を分割で活用する?
    近年では、権利意識の高まりとともに、遺産分割の際に相続人同士でもめてしまうケースも少なくありません。特に農家の方の場合には財産は土地が中心になりますが、土地を売って兄弟で分けるというのでは、農業を続けていくことも、家を守ることもできなくなってしまいます。このような場合に、生命共済に加入しておけば、兄弟で分割する財産を用意することができます。
  • 相続財産として評価減ができる?
    まず、受け取った生命共済金は、法定相続人の数×500万円まで非課税になります。例えば法定相続人が4人の場合には、500万円×4人=2,000万円まで非課税で受け取ることができます。この2,000万円を預貯金で残していた場合は、2,000万円すべてが相続税の課税対象となりますが、生命共済金では非課税なので同じ2,000万円でも税負担は全く異なります。

以上の点を考慮して、掛金負担者、被共済者、受取人の関係に注意し、今一度加入されている生命共済等について検討し直してみてはいかがでしょうか。

 

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