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小規模宅地の評価減の特例

※2012年9月時点の税制をもとに改訂しています。

相続税の申告において、一定面積以下の宅地については評価上軽減措置があると聞いたのですが、それはどのようなものか教えて下さい。

相続または遺贈によって取得した土地のなかに、被相続人または被相続人と生計を一つにしていた親族の事業(不動産貸付を含む。)に使用されていた宅地等や、もしくは居住用として使用されていた宅地等で、建物や構築物の敷地として使用されていた土地があった場合には、それぞれの限度面積まで評価額の一定割合を減額する制度があります。これを「小規模宅地の評価減の特例(小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例)」といいます。今回はこの「小規模宅地の評価減の特例」について解説を行っていきます。

(1)適用対象

「小規模宅地の評価減の特例」の適用は、個人が相続または遺贈により取得した宅地等で、次に揚げる1~5の要件をすべて満たすものでなければ受けることができません。

  1. 相続開始直前において、被相続人または被相続人と生計を一つにしていた被相続人の親族(以下「被相続人等」)の事業の用もしくは居住の用に供されていた宅地等である。ここでいう事業には、事業と称するに至らない不動産の貸し付けその他これに類する行為が含まれます。
  2. 建物または構築物の敷地の用に供されていたものである。
  3. 棚卸資産およびこれに準じる資産に該当しないものであること。
  4. 各人が取得した宅地等のうち、この特例の適用を受けるために選択した宅地が一定の限度面積までの部分であること。
  5. 相続税申告書の提出期限までに分割されていること。ただし、申告期限から3年以内に分割が決定し、その旨の届出書(申告期限後3年以内の分割見込書)を提出する場合には、遡って適用を受けることが可能です。
  6.  

(2)適用対象宅地と限度面積、減額割合

小規模宅地の特例は、一回の相続につき、次の表にある面積まで適用を受けることができます。

【区分1】

  1. 特定事業用宅地等とは
    被相続人等(同一生計親族を含む)の事業に供されていた宅地等で、その事業を申告期限までに承継し、かつ、申告期限までその事業を営んでいる場合などをいいます。ただし、不動産の貸付業等は除きます。
  2. 特定同族会社事業用宅地等とは
    特定同族会社の事業の用に供されていた宅地等で、その宅地等を取得した個人のなかにその被相続人の親族(相続税の申告期限において、その法人の役員である)がおり、その親族が相続開始時から相続税の申告期限まで引き続きその宅地等を有し、かつ、その法人の事業の用に供している場合などをいいます。 ただし、不動産の貸付業等は除きます。

【区分2】

特定居住用宅地等とは
被相続人の居住の用に供されていた宅地等で、その宅地等の取得者が配偶者や同居親族で申告期限までその宅地等を有し、かつその宅地等に居住している場合などをいう。

【区分3】

区分1、区分2に該当しないその他の小規模宅地等 
被相続人等の事業(不動産の貸付けを含む)の用若しくは居住の用に供されていた宅地等または、上記区分①、②に該当しない小規模宅地等をいいます。
例えば駐車場の敷地、貸宅地、貸家建付用などの不動産貸付用の土地は「特定事業用宅地等」ではなくこれに該当します。

(3) 手続き

小規模宅地等についての課税価格の計算方法の特例の適用を受ける際には、相続税の申告書(修正申告書等を含む)に次に挙げる書類を添付しなければなりません。

  1. この適用を受けようとする旨の記載および計算に関する明細書
  2. 戸籍の謄本
  3. 戸籍の附票
  4. 住民票
  5. 遺言書の写し
  6. 遺産分割協議書等

 なお、申告書の提出がなかった場合や添付がない申告書の提出があった場合でも、やむをえない事情があると認められるときは、特例の適用が認められています。
  また、小規模宅地の特例を受けた宅地等については含み資産となりますので、一次相続の場合には、配偶者よりも長男がその適用を受けた方が有利となります。
  例えば一次相続では自宅を配偶者と長男の共有にして、小規模宅地の特例を長男で受け、さらに二次相続が発生した場合、再び長男がこの特例の適用を受けることができるので、有利となる場合があります。
  今回解説を行ってきた小規模宅地の評価減の特例は、その対象となるような宅地が被相続人等にとってその生活を維持するための基盤となるものであること、また、その処分に関しても相当の制約を受けることに配慮して制定されているのです。

【表】

区分 選択特例対象宅地等 限度面積 減額割合
(1) 特定事業用宅地等、特定同族会社事業用宅地等、
国営事業用宅地等 ※1
400㎡ 80%
(2) 特定居住用宅地等 240㎡
(3) 貸付事業用宅地等 200㎡ 50%

※1 国営事業用宅地等の特例は平成19年10月1日以降廃止されました。
      しかし、一定の要件を満たす場合には引き続き特例が認められます。

※計算式

(1)(2)(3)は上記区分の(1)(2)(3)の面積の合計

 

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