2013.4月号
【 2013.4月号 】
日本の農業を税制がサポート!「農地にかかる相続税の納付を猶予する特例」
農業経営を営んでいた父が亡くなったため、相続税の申告をすることとなりました。農地については長男である私が相続することとなっています。納税猶予の特例を利用するために必要となる要件はどのようなものでしょうか?
農地等の納税猶予の特例は、農業経営を継続するための猶予制度です。そのため、その農地で引き続き農業を営むというのが要件としては必須になります。
譲渡や農地以外への転用、農業経営の廃止など、農業を営まなくなった場合には、利子税とともに相続税を納付しなければならなくなるのでご注意下さい。
1.どれだけ猶予されるのか
農業投資価格 (注1)を超える部分に対応する相続税が猶予されます。
(注1) 農業投資価格とは農業の用に供すべく農地として取引きされる場合に
通常認められる価格のことです。国税庁のHPで確認することができます。
<具体例>
(1)相続人は実施である甲、乙の2人です。
(2)納税猶予の特例の適用を受けるための用件はすべて満たしています。
税額控除はありません。
(3)相続財産の相続税評価額及び農業投資価格は以下のとおりです。
農地以外の財産 | 農地 | ||
---|---|---|---|
相続税評価額 | 相続税評価額 | 農業投資価格による価額 | |
甲 | 1,000万円 | 8,000万円 | 1,000万円 |
乙 | 6,000万円 | - | - |
つまり、甲の相続した農地について納税猶予を行うことで、1,100万円の税金を猶予できます。
2.いつまで猶予されるのか
次の1~3のいずれか早い日(納税猶予期限)まで猶予されます。また猶予された相続税は原則として免除されます。
3.分割協議を調えることと農業継続が必須の要件
納税猶予の適用を受けようとする相続人は、相続発生後10ヶ月以内に税務署長に期限内申告書と所定の添付書類を提出し、担保を提供する必要があります。
また、この特例の適用を受けるには、相続税の申告書の提出期限までにその農地等を取得し、かつ、農業経営を開始するなどの要件を満たす必要があります。そのため、申告書をただ提出すればいいというものではなく、遺産分割が調わなければ適用対象外とされてしまいます。
当然、相続後も適用要件を満たし続けなければならないので、譲渡や農地以外への転用、または農業経営の廃止等の理由で農業を営まなくなった場合には、利子税とともに相続税を納付しなければなりません。
4.特例の対象となる農地等
関連リンク
無料相談は各事務所で実施しております。
お気軽にお問い合わせ下さい。
(平 日)9時00分~18時00分 (土 曜)9時00分~18時00分
(日・祝)10時00分~17時00分 ※一部例外日あり